令和2年度第35回福島県特別支援教育センター研究発表会
2020年12月7日 13時19分令和2年12月4日、三春町の福島県環境創造センター交流棟「コミュタン福島」において、「共に学び、共に生きる社会の形成に向けて~幼児児童生徒一人一人に応じた指導・支援の充実を目指して~」を主題に、研究発表会を実施しました。今年は、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、会場収容人数に制限がありましたが、県内の幼稚園・保育園、小・中学校、高等学校、特別支援学校の先生方、市町村教育委員会関係者等、約150名の方々にご参加いただきました。
午前中は、4つの研究発表を行いました。調査研究では、「通常の学級等における合理的配慮の充実に向けた調査研究~児童生徒一人一人に応じた合理的配慮に関する実践的な取組~」のテーマのもと、一人一人に応じた合理的配慮の充実を目指すために、小・中・高等学校3校の研究協力校で取り組んだ合理的配慮を考えるケース会議の在り方について発表しました。今後に向けて、児童生徒一人一人に応じた合理的配慮の内容の充実のために、学校の状況に応じて提供計画を円滑に運営する工夫、丁寧な実態把握と行動観察の視点の共有、合理的配慮の3観点11項目で整理することなどを提案しました。
教育研究では、「知的障がいのある児童生徒を教育する特別支援学校における各教科の指導の充実」のテーマのもと、特別支援学校(知的障がい)の各教科の指導の実践研究3年間の成果と課題について発表しました。研究協力校との実践研究を通して、学習指導要領の趣旨を踏まえた特別支援学校(知的障がい」の各教科についての研修や授業改善が積極的に進められるとともに、系統性や連続性を重視した指導計画等の検討が進められていることなどを報告しました。
また、長期研究員発表では、算数科文章題の解決においてつまずきが見られる児童の背景をとらえた指導により対象児の理解の深まりや意識の高まりがみられた実践や、対象児の気になる行動の背景にある思いや願いに寄り添った生徒指導を重ねたことにより、児童が教師の指導に納得し変容していった実践を発表しました。
午前の発表後、密を避けるため20分ごとの入替制にしてポスター発表を行いました。教育研究実践協力校のたむら支援学校・会津支援学校は、教科の資質・能力や指導のポイントを明らかにしたシートを活用して授業づくりに取り組んできた実践を発表しました。相馬支援学校は、児童生徒の資質・能力を育むために単元改善を積み上げ、次年度の教育課程・年間指導計画の見直しにつなげる学び合いの実践を発表しました。また、一年次の長期研究員は、対象児が学習活動において充実感や満足感が得られるための目標設定の在り方や、対人関係でつまずいている児童の背景を捉えた支援策について発表しました。
午後は、文部科学省初等中等教育局特別支援教育課 特別支援教育調査官 菅野和彦 氏による教育講演「特別支援学校における指導の充実を目指して」を視聴しました。児童生徒の資質・能力を育む効果的な指導のためには、各学校における教育活動をPDCAサイクルで見直し、教育活動の質の向上を図りながら指導計画に位置付けていくことが大切である等、多くのご示唆をいただきました。
今年度の当センターの取組は、今年度末に発行される所報特別支援教育73号、研究紀要34号で紹介いたしますので、ぜひ、ご覧ください。